- 卵管通過性検査の分類
- 卵管通過性検査は、子宮の入口(子宮口)から色々な物質を注入し、その注入した物質が子宮から卵管を通ってお腹の中(腹腔内)へと拡がる様子を確認することで、卵管の通り具合(卵管通過性)を評価するものですが、「何を注入」し、「どうやって評価」するかによって検査方法は次のように分類されます。
1.卵管通気検査 :炭酸ガスを注入して、卵管の通過性を圧と音で評価する検査
2.卵管通水検査 :生理食塩水(生食)を注入して、卵管の通過性を圧で評価する検査
3.卵管造影検査 :特別な造影源を注入して、卵管の通過性を画像(X線・超音波)で評価する検査
4.卵管通色素検査:手術時に色素水を注入して卵管の通過性を直視下に評価する検査
- <卵管通過性検査の比較表>
|
卵管通気検査 |
卵管通水検査 |
卵管造影検査 |
卵管通色素検査 |
注入物質 |
炭酸ガス | 生食 |
造影剤・造影源 |
色素水 |
確認手段 |
圧力計 |
圧力計・超音波 |
X線・超音波 |
手術 |
評価方法 |
圧・音 |
圧 |
視覚 |
視覚 |
- 卵管造影検査の分類
- 卵管造影検査は、同時に子宮内腔の評価も可能で「子宮卵管造影検査」とも呼ばれます。
「何を注入」し、「どうやって評価」するかによって、さらに次のように分類されます。
- 1.X線子宮卵管造影(HSG)・・・保険適応あり
- 油性造影剤
- 水性造影剤
- 2.超音波子宮卵管造影(HyCoSy)・・・保険適応なし
- 水性造影剤
- 混合造影源
- <子宮卵管造影検査の比較表>
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X線(HSG) |
超音波(HyCoSy) |
注入物質 |
造影剤(油性) | 造影剤(水性) |
造影源(空気/生食) |
確認手段 |
X線 |
X線 |
超音波 |
X線被爆 |
あり |
あり |
なし |
評価方法 |
視覚 |
視覚 |
視覚 |
診断結果 |
後日 |
即日 |
即日 |
健康保険 |
適応 |
適応 |
適応外 |
- ※日本の保険診療においては、HSGのみ保険の適応が認められています。このため、一般に「卵管造影検査」というと「X線子宮卵管造影検査(HSG)」のことを指すことが多いようです。
- ※ご自分にどの検査が合っているのか、その施設でどの検査をやっているのか、などは、あらかじめ担当医にご確認ください。
医療法人 佳洛菴
志馬クリニック四条烏丸
理事長 志馬裕明
- 参考文献:
- 岩下利光(2007)「卵管通気・通水法・子宮卵管造影」,『日産婦誌』59巻4号N46-47, 日本産科婦人科学会.
- 亀井清(2003)「医療保険と産婦人科診療」,『日産婦誌』55巻9号N274, 日本産科婦人科学会.
- 日本生殖医学会編(2014)『生殖医療の必須知識』P79-83, 日本生殖医学会.
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